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ぞうさん先生のつぶやき

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ぞうさん先生のつぶやき

<はじめに>

ぞうさん先生は今まで多くの雑誌(小学館「めばえ」、NHKすくすく赤ちゃん副読本、保育雑誌など)、新聞(毎日新聞「ぞうさん先生の子育てトーク」、東京新聞、朝日新聞国際版など)にエッセイなど子どもの健康に関することを縁あって掲載させていただきました。それらを現在の状況に合わせリニューアルしてこのHPに掲載したいと思います。いろんな子どもに関することを皆さんと考えたいと思います。


(1回目)
・ 赤ちゃん「よーいドン」
 初めまして小児科医の鈴木です。これから僕のクリニックに来た子どもたちの窓から見えてくる様々なことを皆さんと考え、子どもたちと接する楽しさを知っていただきたいと思います。よろしくお願いします。
 クリニックを開業する前に勤めていた病院はお産の多いところでした。お産はお母さんにとって大変なイベントですが生まれてくる赤ちゃんにとっても大変な冒険です。お母さん世界から人間世界への登場はできるだけ安全にしたいものです。予測できないことも稀にあるのです。赤ちゃんの健康責任者であった僕はできるだけお産に立ち会うことにしていました。その結果、約8千人の赤ちゃんのデビューに付き合いました。元気よく泣き、赤ちゃんと言われるように全身真っ赤になれば喜びの歓声が分娩室に満ちます。時に元気なく生まれる赤ちゃんもいます。優しく皮膚をさすって酸素を与えればすぐに赤ちゃんは元気になります。ちょっとしたことを少し遅くれるだけで大変になるのが誕生の瞬間です。
 お猿さんのような赤ちゃん、歌舞伎役者のようにしっかり目をつり上げている赤ちゃん、驚いているような赤ちゃん、もう人間だと言わんばかりに落ち着いた赤ちゃんと様々です。赤ちゃんと言うより個性の誕生です。その個性を大事に育てるのが赤ちゃんに関わるすべての大人たちの責務です。お産の終わった後のお母さんは自信と安心でとてもいい顔をしています。お父さんはお母さん以上に興奮しています。喜びと責任の文字がうっすらと顔に見えます。赤ちゃんだったお兄さん、お姉さんは新しい弟、妹が生まれて、しっかりせねばと期待される存在になります。赤ちゃんの誕生はちっちゃな家庭のちっちゃな記念日ですが、そのベクトルエネルギーは未来に無限です。小児科のクリニックはこんな家族の休憩室であり避難所です。